2012年5月2日水曜日

糖化製品値上げ、運賃高騰は理解されず?

飲料や菓子の甘味料として使う異性化糖など糖化製品メーカーが海上運賃の高騰に悲鳴を上げている。原料となるトウモロコシが高止まりしている上、海上運賃は依然として先高観が強くコストの上昇が止まらない。各社は10月から1キロ10円の再値上げを打ち出し、必死の覚悟で交渉に臨んでいるが需要家の抵抗は強く全面浸透するかは微妙だ。

トウモロコシのシカゴ相場は現在、1ブッシェル3.6ドル前後。今年3月の4ドル台からは水準を切り下げたものの、前年同期に比べれば50%前後高い。メーカー各社は原料のトウモロコシの高騰を理由に今年1月から1キロ10円の値上げを打ち出し、満額で決着。ただトウモロコシの上昇が止まらないことから4月以降、同額の第2次値上げを表明した。相次ぐ値上げに需要家の抵抗は強く、現在のところ4―5円の浸透にとどまっている。

ここにきてメーカーの頭を悩ませているのが海上運賃の高騰だ。年初に1トン当たり55ドル程度だった「米メキシコ湾岸―日本」の穀物運賃は現在、約2倍となり100ドルを突破した。中国の旺盛な資源需要を背景にさらに上昇を続け「年内に120ドルに乗せるのは確実」(糖化製品メーカー)という。大手糖化製品メーカーの営業担当部長は「年初に調達コストの内訳はトウモロコシが69%、海上運賃が25%だったが、現在はトウモロコシ50%、海上運賃が40%。そのうち海上運賃の占める比率が逆転するのでは」と苦笑する。

メーカー側にとって海上運賃の高騰は二重の意味で負担だ。一つは原料調達コストを押し上げること。二つ目は、これまで値上げの理由は価格がオープンになっている「トウモロコシのシカゴ相場の上昇」だったが、海上運賃の高騰は「交渉の場ではなかなか理解されにくい」(糖化製品メーカー)点だ。メーカー各社は第2次値上げで積み残した1キロ5―6円に加えてさらに10円の上積みの年内決着を目指す。だが交渉の優位性は需要家側にあり、満額決着は厳しそうだ。

さらに一つ、糖化製品メーカーの悩みの種が遺伝子非組み換えトウモロコシの確保。米国では一段と組み換え製品へのシフトが進んでおり、非組み換え製品のプレミアム(割増金)が一段と上昇するのは必至。メーカーにとって今年はいつになく厳しい冬となりそうだ。