2016年2月11日木曜日

政治家が主導する政治の実現

各党の理念や政策の相違を知るために、縦軸に、安全保障や国連協力への積極(消極)性、横軸に「大きな政府」「小さな政府」という経済の軸を置いた座標を作り、各政党を位置づけてみた。実態を単純化しているおそれがあるとはいえ、こうした作業は安保問題など、連立政権の与党である各政党間の政策上の対立、ねじれの存在を教えてくれる。

興味深いのは、そのような対立の解消、すなわち合意達成の過程で、共通のパターンがみられたことである。勿論、各政党間の調整が必要ない、ねじれがない分野もある。それはどの分野で、またどのような理由に基づくものであろうか。安全保障、経済、予算などに特化して、みていくことにしよう。

各政党が求める政策が、実際に決定され実施されるまでの問、つまり政策過程に関連する問題を扱っている。政策過程上になんらかの問題があり、そのために政策の決定や実施が妨げられていたというのが、ここでの議論の前提である。非自民政権による細川内閣が発足したとき、自民党一党支配下の政策過程は、官僚主導という点て批判が厳しかった。

そのため、政治家が主導する政治をどのように実現するかが、細川内閣以来の連立政権に共通する課題となった。一九九五年、阪神淡路大震災が発生すると、官邸での首相のリーダーシップの欠除やそれが発揮される体制の不備も指摘された。問題とされた政治の主導権の構築について、連合政権はどのような措置を具体的にとったのかも分析したい。

さらに以前から指摘されてきた問題、日本の政治そのものの不透明性がある。欧米の先進諸国と比べ、根回し的な手法がクローズアップされ、不評を買ってきたが、五五年体制下の自民党一党支配に、それを是正する原動力はなかった。なぜなら、自民党と官僚機構の密接な関係は、それなりに効率性の高い政治と経済成長を実現してきたからである。五五年体制の崩壊による非自民勢力の結集は、政策過程における透明性の向上を、はじめて、政府の主要課題としてとりあげる機会をもたらすことになった。