2015年10月12日月曜日

公益法人の指導監督基準

これに関連して次のような抽象的な記述があるにすぎない。「郵政事業の利用者に対する便益の増進に資する事業」「本会の目的達成に必要な事業」。つまり、郵政弘済会が複数の営利企業の大株主として、郵政省から独占的に請け負った郵便局の清掃などを子会社に丸投げし、法外な収入を得ていた事実はこのように覆われてきたのである。

公益法人の指導監督基準により、公益法人は原則として営利企業の株式保有を禁じられ、九九年九月末までに保有株式の処分が義務付けられた。結果、同財団は自らの保有株を処分し、グループ企業に引き取らせた。表向きは指導監督基準に従いながら、別の郵政省関連のファミリー企業に株式を保有させることで郵政ファミリーが依然、天下り先の系列企業を実質支配している形だ。

郵政弘済会は二〇〇〇年度(九九年一〇月―ニ○OO年九月)の当期収入が支出を一億六〇〇〇万円超上回る七八六億五一八四万円に上った。職員数は三五二人だから単純計算すると、一人当たり約二億二三〇〇万円の収入を上げていることになる。これは企業でいえば、ソニー(単独)の一人当たり売上額二億三五〇〇万円=二〇〇〇年三月期)を七倍近く上回る異様なまでの高収入体質だ。これも親元の郵政省と結んで事業を独占しているせいである。

このうち「収益事業」収入は、三五八億一四一九万円と計上された。こうした法人収入に対し、公益法人であるために法人税が「公益事業」に対しては免除、「収益事業」に対しては軽減されているのである。

この収入源に、子会社への丸投げから得た約六〇億円の郵便局の清掃収入が含まれている。郵便局の清掃を下請けさせていた子会社の一つは、財団が株式を保有していた「とうび(旧名・東京郵弘)」という無名の小企業だ。こういうファミリー企業の経営陣に郵政OBが天下りしていることは言うまでもない。