2015年8月17日月曜日

下請企業間の競争

このような技術を維持することが本当によいかどうかぱわからない。アメリカの企業は以前から企業内で自製部品を製造する割合が高いことで知られる。このために、製品の品質を維持することができず、コス上局となって国際競争力を失ってしまった。もちろん部品工業は存在するが、日本のような全面的依存ではない。日本産業の競争力が強くなったのも、円高を前提として品質と価格を維持してきたことによる。これは、下請企業間の競争によって生みだされたのであり、下請企業を維持するための政策などが行われれば、現在の技術を維持することにならなくなる。政策的に現状維持することを始めたとたん、技術の発展は停止することになる。

確かに、一旦崩壊した産業の復活は非常に難しい。産業は継続して技術を維持しなければならない。しかし、問題はこれに対する適切な政策が存在しないことである。為替レートを制御できると考える者は今日誰もいない。かってのIMF時代のような固定為替レートを維持することは今日では期待できない。アメリカの経済政策の転換が円高を落ち着かせる基本であるが、いずれ転換せざるをえないとしてもすぐには期待できない。

すなわち、いずれにせよ構造変化を防ぐ方法はなく、先に述べたように本当に比較劣位の産業を早く空洞化させることによって、競争力のある産業を空洞化させないことが求められる。農業や特定のサービス産業など生産性の低い産業(もちろん製造業にもあるが)を温存させていることが、本来競争力の強い産業を空洞化させていることに注目しなければならない。政府にできることは、このような生産性の低い産業の一日でも早い空洞化である。すなわち、これらを維持しているのは規制であり、規制緩和が政府の仕事として求められる。

そして、円高に対応して産業構造を変えていかなければならないのと同様に、技術も変えていかなければならない。日本にできたことが途上国にできないはずはなく、いずれ追いつかれる。円高でも競争力のある技術開発を行っていけるかどうかが今後の日本経済の将来を左右する。活発な企業家精神でイノベーションを引き起こしていくことが重要である。独創的技術の開発こそ日本経済の生きる途である。このための改革を民間でも政府でも積極的に行ってゆく必要がある。