2012年6月19日火曜日

金ETF・金ミニ取引、盛り上がり欠く出足

金への投資手法が多様化しつつある。先物の「ミニ取引」や金価格に連動する上場投資信託(ETF)が相次ぎ登場した。近年の相場上昇で投資先として金への関心が高まっていることを象徴する動きといえそうだ。

東京工業品取引所が7月17日に金ミニ取引を開始して1カ月余りが過ぎた。金先物の取引単位を100グラムと10分の1に引き下げたうえ、損失が事前に決めた額を超えると取引を手じまう「ロスカット制度」を導入してリスクを軽減。商品先物になじみの薄かった個人投資家の取り込みを目指した。

金ミニ初日の7月17日、大阪証券取引所が金ETFを8月10日に上場すると発表した。海外のETFが金現物を証券化するのに対し、日本の現在の投資信託法では商品を組み込むことを認めていない。そこで金価格に連動する債券(リンク債)を使って価格を連動させる形を取った。管理・運営する野村アセットマネジメントでは「短期取引の商品先物と、長期保有の地金の中間のような形を目指し、投資商品のパイを広げたい」としている。

今のところ両市場とも出足は静かだ。金ミニは初日を除き、現在まで1日の売買高が2000―4000枚台の日が多い。「1万枚程度はできてほしかった」(東工取幹部)という期待からはやや物足りないともいえる。大証の金ETFも、初日を除いて1万―4万口(1口は10グラム)の売買高にとどまる。上場間もなく円高が進んで価格が下がった影響が大きい。

ワールド・ゴールド・カウンシルの豊島逸夫日韓地域代表は「金投資の一番の動機はリスク分散。新商品は既存の先物や地金と競合するよりも、新たな投資家を呼び込む可能性がある」と期待する。潜在力を発揮するにはまず株や為替相場が落ち着きを取り戻すことが必要といえそうだ。