2014年6月9日月曜日

コレステロールの持つ意味

「高脂血症」という言葉は血液中の脂肪の濃度か高い病態を意味しています。脂肪とは、多くの動物や植物の体内にある油のことで、食物に含まれる脂肪は、炭水化物、蛋白質とともに三大栄養素となっています。食物中から摂取している脂肪はほとんどが吸収率の高い中性脂肪です。

組織や細胞への栄養素の搬送機関となっている血液は、大きく分けると二つの成分から成り立っています。一つは赤血球、白血球、血小板のような血球成分と呼ばれるものです。もう一つは、糖質、蛋白質、脂質(脂肪)、塩分などを含む水分である血清成分です。血液を試験管の中に入れて遠心分離すると、上部に透明な黄色みを帯びた上澄みの部分が出来ますか、この上澄みの部分が血清です。

このように、血清成分は血液のなかで血球を浮遊させ、いろいろな物質を溶け込ませている成分ですが、この中に含まれる脂肪分のことを血清脂質と言います。血清脂質はかたちや機能の面から、大きく分けると、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、脂肪酸(遊離脂肪酸)の四種類が存在します。

コレステロールは、私たちの体内の六〇兆個にも及ぶ細胞の膜の部分に分布しています。したがって、細胞の数の多い臓器である脳や肝臓などの組織に多く存在しています。コレステロールについては、とかく悪いイメージが先行しがちですが、コレステロール自体は細胞膜の素材として体にとってなくてはならない存在です。

体内にあるコレステロールは、食事から摂取したものだけでなく、体内でも合成されています。コレステロールをつくる臓器はおもに肝臓ですか、それ以外にも小腸、皮膚、副腎などでもつくられます。平均的な食事からとっているコレステロール量は一日三〇〇ミリグラム程度ですが、体内でつくられるコレステロールの量はおよそ三倍にのぼります。

このコレステロールには、遊離型コレステロールとエステル型コレステロール(コレステロールーエステル)の二つのタイプかあります。遊離型コレステロールは主に細胞膜をつくる原料になります。エステル型コレステロールは体内にコレステロールか不足しないようにスペアーとして貯蔵されているコレステロールです。血清中のコレステロールの八○%以上がエステル型コレステロールです。見方を変えると、血清はコレステロールの貯蔵所ということにもなります。