2014年7月8日火曜日

外国為替管理法の改正

ここに目をつけたのがNTTデータである。同社は一九八一年から自動照会通知システム「ANSER」のサービスを開始して以来、ネットワークの拡充に取り組んできた。ANSER-WEBはインターネット経由でANSERサービスを提供するもので、九六年から始めた。利用者はネットスケープーナビゲーターなどのブラウザーソフトを起動して、指定されたホームページにアクセスすればいい。接続しやすいことが特長で、残高照会、入出金明細照会、資金移動サービスなどが簡単にできる。

このサービス機能を一段と高めたのがANSER-SPCである。同社はこれを次世代のホームーバンキングーシステムと位置付けて、一九九七年から提供を開始した。ANSERISPCぱ安全性と信頼性をより重視しているためにNTTデータが管理している専用線を利用したネットワーク方式をとっているが、これに対応する家計簿ソフトを使って残高照会、入出金明細照会、振込、振替などのホームーバンキング取引ができる。マイクロソフト社が九八年七月にウィンドウズ98を発売したが、このときに同時発売した「マイクロソフト・マネー」の日本語版をANSER-SPC対応にした。そこで東京三菱銀行は、マイクロソフトーマネーの基本機能に独自機能を加えたカスタマイズ版を通信販売で個人顧客に提供することにした。

ATMが普及した現在、個人顧客が銀行に足を運ぶ目的の大半ばATMを利用するためだといっていい。しかし、いまやそのために、わざわざ銀行まで出掛けなくても、家にいながらにして、しかも好きな時間にATMのサービスを受けることができる。それどころか、金利や外為取引の案内、年金やローンの相談、融資受付などATM以上のサービスが可能なのだ。いまやパソコンが、銀行の窓口にとって代わったのである。NTTデータは、エレクトロニックーバンキングの将来をも視野に入れて「3M政策」を掲げている。

外国為替管理法が一九九八年四月に改正された結果、お金には国境がなくなった。企業会計の分野では従来の日本独自の企業会計原則はもはや通用せず、多通貨会計、時価主義会計、連結決算主義会計という国際的にも通用する方式に否応なく転換していかざるを得ない。ANSERには、多通貨に対応した自動仕分け、自動時価評価、外貨取り扱い基準の統一による自動連結処理などを実現するための対策が盛り込まれている。