海運市況が騰勢を強めている。石炭や穀物など資源輸送を担うばら積み不定期船の用船料(海運会社が船主から船を借りる賃料)は今年に入り、過去最高値を更新し続けている。
自動車部品や工作機械などの生産財から、家具や雑貨などの消費財まで様々な貨物を運ぶコンテナ船でも、海運各社が相次いで値上げを表明している。特に欧州航路は海運各社が大型船を投入しているにもかかわらず、一部で積み残しが出るほどの輸送需要がある。
今の海運市況の騰勢は運ぶ貨物が増えているのに輸送能力の増強が追い付かないのが最大の原因だ。1990年代末のアジアやロシアの金融危機後に貿易貨物が減って海運各社が船隊を縮小したり、新造船への投資を手控えたりした影響が残っているともいえる。
もっとも足元の上昇はあまりにも急ピッチだ。ばら積み船の国際運賃指標、バルチック海運指数(1985年平均=1000)は今年6000台に乗せた後、7000台に到達するまで3カ月ほどかかった。だが、その後わずか1カ月で8000台に乗せた。実際の需給を映しているとは言い難い面もありそうだ。
一つは用船市場への投機資金の流入だ。投資銀行や商社などの資金が用船市場にかなり流れ込んでいるとの見方は強いが、市場関係者にもはっきりとした流入規模はわかっていない。
中国をはじめとした経済成長が著しい国や地域の資源輸入需要がばら積み船用船料の騰勢の背景にあるとはいえ、米国をはじめ世界各地で景気減速感が強まれば、少し遅れて資源輸送需要にも影響する可能性は否めない。
造船業界の新船建造能力の制約から少なくとも2011年ごろまでは強い基調が続くとの見方が海運業界関係者には多い。ただ最近になって金融市場を揺るがした米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向けの住宅融資)問題後の米景気の動向には注意する必要があるだろう。
商品市場では先物取引の規模が大きい銅など非鉄市場にすぐに影響が表れた。海運業界では、影響があるとすれば、コンテナ船の荷動きに4カ月ほど後で出てくるとの見方もある。ばら積み船だけでなくコンテナ船の用船料も青天井に上昇するというシナリオは成り立たないだろう。
2012年5月23日水曜日
2012年5月21日月曜日
原油、近づく強気相場の終焉
原油相場の騰勢が衰えない。なかでもニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)期近相場は8月1日に過去最高値を更新し、9月12日に1バレル80ドルを超えた。3月から7月までロンドン市場の北海ブレントを下回っていたのがうそかのような「暴走」ぶりだ。
市場ではにわかに先高予測が台頭している。米ゴールドマン・サックスは供給リスクが顕在化すれば年末までにWTIは90ドルに達し、来年は平均85ドルで推移するとの超強気予測を示した。だが現在の高原相場は持続可能なのか。カギは米国の需要と景気だ。
米国では人口増と所得増で自動車保有台数が増えており、原油価格が高騰してもガソリン需要が伸びてきた。投資マネーが株や債券から原油などの商品に流れ込んでいる背景には、実需の堅調さがある。
それでも米景気が失速すれば、原油需要には間接的に下押し圧力が働く。ばんせい証券の武田真市場調査室長は「米ガソリン消費は小売価格が一時期より下がったにもかかわらず伸びが鈍化しており、個人消費が鈍っている可能性がある」とみる。米住宅ローン問題の影響が個人消費に波及すれば、市場で軽視されている需要減退リスクが注目されるだろう。
原油市場への資金流入を加速させたドル安も、本質的には米景気に対する不安の表れといえる。米金融当局の利下げは一時的に株価を押し上げても、長期的には原油高という副作用を伴って景気下押しリスクにつながりかねない。80ドル近辺の原油高が経済に与える影響は無視できず、長続きは難しいように思える。
市場ではにわかに先高予測が台頭している。米ゴールドマン・サックスは供給リスクが顕在化すれば年末までにWTIは90ドルに達し、来年は平均85ドルで推移するとの超強気予測を示した。だが現在の高原相場は持続可能なのか。カギは米国の需要と景気だ。
米国では人口増と所得増で自動車保有台数が増えており、原油価格が高騰してもガソリン需要が伸びてきた。投資マネーが株や債券から原油などの商品に流れ込んでいる背景には、実需の堅調さがある。
それでも米景気が失速すれば、原油需要には間接的に下押し圧力が働く。ばんせい証券の武田真市場調査室長は「米ガソリン消費は小売価格が一時期より下がったにもかかわらず伸びが鈍化しており、個人消費が鈍っている可能性がある」とみる。米住宅ローン問題の影響が個人消費に波及すれば、市場で軽視されている需要減退リスクが注目されるだろう。
原油市場への資金流入を加速させたドル安も、本質的には米景気に対する不安の表れといえる。米金融当局の利下げは一時的に株価を押し上げても、長期的には原油高という副作用を伴って景気下押しリスクにつながりかねない。80ドル近辺の原油高が経済に与える影響は無視できず、長続きは難しいように思える。
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