アメリカの債務国転落の衝撃は、そのテンポをみれば容易に想像がつく。アメリカは一九一四年に債権国になった。その年以降、アメリカは経常収支黒字累積国になったのである。そして第二次大戦後は世界最大の債権国として君臨し、八一年には史上最高の一四〇九億ドルの対外純資産を記録し、八二年にも一三六七億ドルの純資産を保有していた。約七〇年間の経常収支黒字累積の成果である。
ところが、純資産は、八三年に八九〇億ドルに減少した後、八四年にはわずか三三億ドルに激減し、八五年にはついに一一一四億ドルの債務超過となり、世界最大にして史上最大の債務国に転落したのである。一〇〇〇億ドルを超える史上最大の債権国が、わずか三年間で一〇〇〇億ドルを超える債務国に転落したということは、約七〇年間に蓄積した経常収支黒字の倍にのぼるような経常収支赤字をたった三年間で記録したということにほかならない(ちなみに新統計[七三ページの注参照]によれば、八二年をピークとする純資産がほぼ消滅したのは八六年であった)。そしてその後もアメリカの経常収支赤字は継続し、対外債務は増え続けた。
このことは、アメリカが八四年以降、毎年一〇〇〇億ドルを超えるような経常収支赤字を出し続けたということ、つまりそれだけの額の国内購買力が年々海外に流出し、GNPの足をひっぱってきたということである。こうして、八〇年代後半に、国際的不均衡は、かつての貿易摩擦のたんなる量的拡大の域を超えて、アメリカ経済の、したがってまた世界経済の死活の問題となったのである。
戦後、世界各国はアメリカ経済とドルに大きく依存することによって経済を拡大してきた。戦後初期にはマーシャル援助などのアメリカの対外援助が、五〇年代以降は。世界の憲兵としてのアメリカの対外軍事支出とアメリカ系多国籍企業の進出(資本輸出)によるドル散布が、各国の外貨(ドル)不足を緩和し、戦後復興とその後の高成長を準備した。
2015年9月11日金曜日
2015年8月17日月曜日
下請企業間の競争
このような技術を維持することが本当によいかどうかぱわからない。アメリカの企業は以前から企業内で自製部品を製造する割合が高いことで知られる。このために、製品の品質を維持することができず、コス上局となって国際競争力を失ってしまった。もちろん部品工業は存在するが、日本のような全面的依存ではない。日本産業の競争力が強くなったのも、円高を前提として品質と価格を維持してきたことによる。これは、下請企業間の競争によって生みだされたのであり、下請企業を維持するための政策などが行われれば、現在の技術を維持することにならなくなる。政策的に現状維持することを始めたとたん、技術の発展は停止することになる。
確かに、一旦崩壊した産業の復活は非常に難しい。産業は継続して技術を維持しなければならない。しかし、問題はこれに対する適切な政策が存在しないことである。為替レートを制御できると考える者は今日誰もいない。かってのIMF時代のような固定為替レートを維持することは今日では期待できない。アメリカの経済政策の転換が円高を落ち着かせる基本であるが、いずれ転換せざるをえないとしてもすぐには期待できない。
すなわち、いずれにせよ構造変化を防ぐ方法はなく、先に述べたように本当に比較劣位の産業を早く空洞化させることによって、競争力のある産業を空洞化させないことが求められる。農業や特定のサービス産業など生産性の低い産業(もちろん製造業にもあるが)を温存させていることが、本来競争力の強い産業を空洞化させていることに注目しなければならない。政府にできることは、このような生産性の低い産業の一日でも早い空洞化である。すなわち、これらを維持しているのは規制であり、規制緩和が政府の仕事として求められる。
そして、円高に対応して産業構造を変えていかなければならないのと同様に、技術も変えていかなければならない。日本にできたことが途上国にできないはずはなく、いずれ追いつかれる。円高でも競争力のある技術開発を行っていけるかどうかが今後の日本経済の将来を左右する。活発な企業家精神でイノベーションを引き起こしていくことが重要である。独創的技術の開発こそ日本経済の生きる途である。このための改革を民間でも政府でも積極的に行ってゆく必要がある。
確かに、一旦崩壊した産業の復活は非常に難しい。産業は継続して技術を維持しなければならない。しかし、問題はこれに対する適切な政策が存在しないことである。為替レートを制御できると考える者は今日誰もいない。かってのIMF時代のような固定為替レートを維持することは今日では期待できない。アメリカの経済政策の転換が円高を落ち着かせる基本であるが、いずれ転換せざるをえないとしてもすぐには期待できない。
すなわち、いずれにせよ構造変化を防ぐ方法はなく、先に述べたように本当に比較劣位の産業を早く空洞化させることによって、競争力のある産業を空洞化させないことが求められる。農業や特定のサービス産業など生産性の低い産業(もちろん製造業にもあるが)を温存させていることが、本来競争力の強い産業を空洞化させていることに注目しなければならない。政府にできることは、このような生産性の低い産業の一日でも早い空洞化である。すなわち、これらを維持しているのは規制であり、規制緩和が政府の仕事として求められる。
そして、円高に対応して産業構造を変えていかなければならないのと同様に、技術も変えていかなければならない。日本にできたことが途上国にできないはずはなく、いずれ追いつかれる。円高でも競争力のある技術開発を行っていけるかどうかが今後の日本経済の将来を左右する。活発な企業家精神でイノベーションを引き起こしていくことが重要である。独創的技術の開発こそ日本経済の生きる途である。このための改革を民間でも政府でも積極的に行ってゆく必要がある。
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